非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)⑬これまでの流れと税務署への申告
投稿日:2021.03.13
こんにちは。
名古屋市中区金山の笘原拓人税理士事務所の税理士の笘原です。
2018年4月1日から施行されている、大きく改正をされた非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)について、国税庁のパンフレットよりも一歩踏み込んだ解説や注意点、実務の落とし穴などについて解説をしていきたいと思います。
前回まで「特例贈与認定中小企業者に係る認定申請書」の添付書類について解説してきました。
ここまでの流れを確認すると、次のようになります。
①特例承継計画の作成
②先代経営者から後継者へ株式を⼀括贈与
③本社が所在する都道府県庁へ認定申請書を提出
③は、贈与の年の10月15日~翌年1月15日までの間に、特例承継計画を添付して申請する必要があります。
なお、①の特例承継計画を提出することができるのは、2026年(令和8年)3月31日までです。それまでは、①と③は同時に提出しても構いません。
2026年(令和8年)4月1日以降に③を提出する場合には、2026年(令和8年)3月31日以前に特例承継計画を提出し、認定申請書に特例承継計画の確認書を添付する必要があります。
次の手続きとして忘れてはならないのが、
④贈与税の申告
です。
贈与を受けた年の翌年2月1日から3⽉15⽇までに、受贈者(後継者)の住所地の所轄の税務署へ贈与税の申告書を提出する必要があります。
このとき、都道府県知事の認定書のほか、株主名簿や定款の写しなどの提出が必要になります。
また、納税が猶予される贈与税額及び利⼦税の額に⾒合う担保を、税務署に提供する必要があります。
担保は、この制度の適用を受ける非上場株式等の全てを担保として提供することができます。
不動産や国債などを担保とすることもできますが、時価が下落した場合には担保の追加提供を求められます。その点、この制度の適用を受ける株式の全てを担保とする場合には、追加提供を要求されません。
贈与税の申告書の提出の際には、「(特例)株式等納税猶予税額の計算書(贈与税)」を作成し提出します。暦年課税か相続時精算課税かによって、作成する計算書が異なります。また一般措置と特例措置で書式が異なります。
③の認定申請書に記載した内容のほか、円滑化法の認定の状況について記載します。認定年月日及び認定番号を記載する必要がありますので、贈与税の申告書を作成提出するまでに認定書の交付を受けている必要があります。
また、計算書には、納税猶予額の計算についても記載する必要があります。
暦年課税の場合、申告にあたっては、この制度の適用を受ける非上場株式等のほか、現金などの贈与や先代経営者以外からの贈与についても一緒に計算します。
しかし、この制度の適用を受ける非上場株式等に係る贈与税額分については、要件を満たしている限り、納税は猶予されます。
なお、相続時精算課税の場合には暦年課税とは申告書も計算書も異なり、納付税額や納税猶予税額も異なります。
贈与税の納税猶予の申告についてご不明なことがありましたら、お気軽に名古屋市中区金山の笘原拓人税理士事務所までお問い合わせください。初回相談は無料で承ります。
執筆者 税理士 笘原拓人