非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)⑪認定申請書の添付書類~その2~
投稿日:2021.03.11
こんにちは。
名古屋市中区金山の笘原拓人税理士事務所の税理士の笘原です。
2018年4月1日から施行されている、大きく改正をされた非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)について、国税庁のパンフレットよりも一歩踏み込んだ解説や注意点、実務の落とし穴などについて解説をしていきたいと思います。
前回より引き続き、「特例贈与認定中小企業者に係る認定申請書」の添付書類について解説していきます。
前回は、基本となる「第⼀種特例贈与認定中⼩企業者」の添付書類①~⑬のうち、④までご説明しました。
今回は、⑤~⑦についてご説明します。
⑤贈与契約書の写し及び贈与税額の⾒込み額を記載した書類
⑥従業員数証明書
⑦贈与認定申請基準年度の決算書類
⑤の贈与契約書がない場合には、当該贈与の事実を証する書類(譲渡承認をした取締役会議事録、取締役会による譲渡承認の通知書、株主名簿書換請求書等の写し)を添付する必要があります。
また、贈与により取得した株式等に係る贈与税の⾒込額及び納税猶予⾒込み税額を記載した書類を添付する必要があります。
この書類の作成にあたっては、次の事項を記載します。
・1株当たりの評価額
・その贈与により後継者が贈与を受けた株式数等
・贈与税総額(⾒込額)及び株式等に係る納税猶予額(⾒込額)
・相続時精算課税の適⽤を受ける場合には、そのことがわかるような記載。
⑥は、認定申請書の別紙2に記載する従業員数を証明するものとして、贈与の日における従業員数証明書を添付する必要があります。
また従業員数証明書と一緒に、次の書類も提出が必要となります。
・厚⽣年⾦保険の標準報酬⽉額決定通知書
・健康保険の標準報酬⽉額決定通知書
・その他の資料
協会けんぽの場合には、上記の通知書に替えて、被保険者縦覧照会回答票で贈与日の従業員数を証することができます。
その他の資料は、75歳以上で厚⽣年⾦保険及び健康保険の加⼊対象外である場合に、2カ月を超える雇用契約があり、正社員並みの雇用実態がある従業員の雇用契約書や、使用人兼務役員の兼務役員雇用実態証明書を指します。
⑦は決算関係書類ですが、贈与の⽇の3年前の⽇を含む事業年度以後の各事業年度分の決算関係書類等を添付します。
決算関係書類等というのは、以下の通りです。
・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本等変動計算書
・個別注記表
・事業報告書(または法⼈事業概況説明書)
・減価償却明細表(固定資産台帳)
・勘定科⽬内訳書
・本社、事業所、⼯場などの謄本や賃貸借契約書など
(従業員が勤務するための物件を所有または賃借していることがわかる書類として)
・売買契約書、請負契約書など
(商品販売、役務提供などの業務を3年以上引き続いて⾏っていることがわかる書類として)
なお、上記は、常時使用する従業員(後継者と⽣計を⼀にする親族を除く。)が5⼈以上いることなどの要件を満たす場合になります。要件を満たさない場合には、法人税申告書別表4などの書類も必要となります。
今回は、添付書類⑤~⑦まで解説しました。
次回は、添付書類⑧以降について解説していきます。⇒添付書類8〜13以降はこちらで解説しています。
認定申請書の添付書類についてご不明なことがありましたら、お気軽に名古屋市中区金山の笘原拓人税理士事務所までお問い合わせください。初回相談は無料で承ります。
執筆者 税理士 笘原拓人