非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)⑩認定申請書の添付書類~その1~
投稿日:2021.03.10
こんにちは。
名古屋市中区金山の笘原拓人税理士事務所の税理士の笘原です。
2018年4月1日から施行されている、大きく改正をされた非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)について、国税庁のパンフレットよりも一歩踏み込んだ解説や注意点、実務の落とし穴などについて解説をしていきたいと思います。
前回までに、「特例贈与認定中小企業者に係る認定申請書」の記載内容について解説してきました。
今回より、この認定申請書に添付する書類について解説していきます。
添付書類についても、基本となる「第⼀種特例贈与認定中⼩企業者」についてご説明します。
提出が必要な書類は、次のとおりです。
①認定申請書(原本1部、写し1部)
②定款の写し
③株主名簿の写し
④登記事項証明書の原本
⑤贈与契約書の写し及び贈与税額の⾒込み額を記載した書類
⑥従業員数証明書
⑦贈与認定申請基準年度の決算書類
⑧上場会社等及び⾵俗営業会社のいずれにも該当しない旨の誓約書
⑨特別⼦会社・特定特別⼦会社に関する誓約書
⑩贈与者・受贈者・その他の⼀定の親族の⼾籍謄本等
⑪特例承継計画⼜はその確認書
⑫その他、認定の参考となる書類
⑬返信⽤封筒
①の認定申請書は、前回までに記載事項をご説明してきた申請書及び別紙のことです。
②の定款の写しは、贈与認定申請基準⽇時点で有効な申請会社の定款の写しを添付する必要があります。
基準日については、納税猶予⑥の回でご説明しましたが、贈与の日によって基準日が変わります。
また、定款の写しには、原本証明をする必要があります。
具体的には、
「この写しは、第⼀種特例贈与認定申請基準⽇(令和○○年〇⽉〇⽇)における当社定款の原本と相違ないことを証明します。」と記載し、〇の中には基準日を記載します。
そして、原本証明をした日付、会社名、代表取締役名を記入し、法人の代表印(実印)を押印します。
③の株主名簿の写しについても、原本証明をします。
次の全ての時点における株主名簿が必要となります。
(1)贈与者が代表者であった期間のうちいずれかの時(贈与の直前に代表者でない場合)
(2)贈与の直前
(3)贈与の時(贈与の直後)
(4)第⼀種特例贈与認定申請基準⽇
(1)は、贈与者(先代経営者)が代表者であったいずれかの時において、「同族過半数・同族内筆頭」であったことの確認のために提出します。
(2)は、贈与者(先代経営者)が贈与の直前において、「同族過半数・同族内筆頭」であったことを確認するために提出します。
(3)は、受贈者(後継者)が、その贈与により、「同族過半数・同族内筆頭」となったこと。
(4)は、受贈者(後継者)が、その贈与により取得した株式等を継続して保有していることの確認のために提出します。
なお、贈与⽇が10⽉15⽇〜12⽉31⽇である場合には、(3)と(4)は同⼀のものになります。
次に、④の登記事項証明書というのはいわゆる会社の謄本のことをいいますが、第⼀種特例贈与認定申請基準⽇以降に取得した申請会社の履歴事項全部証明書のことです。
これは写しではなく、必ず原本が必要になります。
この履歴事項全部証明書では、次のことを確認します。
・後継者が贈与前3年以上にわたって役員に就任していたこと。
・後継者が贈与の時には代表者に就任していたこと。
・贈与者が贈与の時において代表者でないこと。
以上のことが履歴事項全部証明書からわかるものを添付する必要があります。
ですので、贈与者(先代経営者)が過去に代表者であった旨の記載が履歴事項全部証明書にない場合には、併せてその旨の記載がある閉鎖事項証明書を添付します。
今回は、添付書類①~④まで解説しました。
次回は、添付書類⑤以降について解説していきます。
認定申請書の添付書類についてご不明なことがありましたら、お気軽に名古屋市中区金山の笘原拓人税理士事務所までお問い合わせください。初回相談は無料で承ります。
執筆者 税理士 笘原拓人