【速報解説】自社株評価が大きく変わる? ― 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第5回)」資料を読む
投稿日:2026.09.19
1.この記事の要点(3行まとめ)
国税庁は2026年8月20日開催の有識者会議(第5回)で、取引相場のない株式(いわゆる自社株)の評価方法を抜本的に見直す方向性を示しました。現行の財産評価基本通達では、租税回避スキームが行われやすいこと、また比較的大きな会社の株価の評価があまり高くならないことなどの理由により、課税の公平が保たれていないというのが出発点になります。
見直しの柱は、①会社規模区分の廃止、②類似業種比準方式の存置は困難、③インカムアプローチ(残余利益方式)を主軸に、の3点です。
現時点ではあくまで議論の段階で、改正時期・内容は未定ですが、事業承継・生前贈与の計画に大きく影響する可能性があります。
2.国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第5回)」
https://www.nta.go.jp/about/council/nai-hyoka/20260820/pdf/05shiryo_kabukaigi.pdf
図解があり見やすいです。
・評価体系について ― 会社規模による区分の廃止
・類似業種比準方式の存置は困難
・時価ではなく、売却を前提としない継続企業としての資産価値。簿価純資産価額が株価計算の起点に。
・評価額の水準はどうなるか
期待収益率以上の収益率の会社 … 簿価純資産価額以上の株式評価額
期待収益率以下 又は 赤字の会社 … 簿価純資産価額以下の株式評価額(簿価純資産より下がる)私見:将来の利益を考慮するということは下がるも当然ではあるが、株価が下がるに踏み込んだのは画期的でもある
3. 実務への影響 ― どう受け止めるべきか
現時点で確定した内容は何もありませんが、資料に示された方向性がそのまま制度化された場合、実務には次のような影響が考えられます。
(1) 株価が上がる会社・下がる会社が入れ替わる可能性
収益力の高い会社は簿価純資産を上回る評価に、赤字・低収益の会社は簿価純資産を下回る評価になります。含み益のある不動産を多く持つが収益力の低い会社と、資産は少ないが高収益の会社とでは、現行制度と評価額の高低が逆転するケースも想定されます。
(2) 従来の事業承継対策の前提が変わる可能性
類似業種比準方式の適用を前提とした対策(会社規模の引上げ、業種目の検討など)は、その前提自体が失われる可能性があります。
(3) 評価の事務負担は軽くなる方向
必要な資料が決算書中心となるため、評価実務そのものは簡素化される方向です。
(4) 「いつ贈与・承継するか」の検討が重要に
制度が変わる前と後とで評価額が大きく動く可能性があるため、自社株の評価額を把握したうえで、贈与・承継のタイミングを早めに検討しておくことが、これまで以上に重要になります。
4.いつ贈与・承継するかお気軽にご相談ください。
株価の計算方法が変わるのは、令和10年(2028年)1月からを想定しています。
令和9年(2027年)中までは現行の財産評価基本通達による株価計算で計算がされます。
事業承継についての戦略を再検討する必要がある会社も多いと思います。
お気軽にご相談ください。
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